鹿児島でアレクサンダー・テクニークを学ぶ

2020年からアレクサンダー・テクニークを教えています

トレーニングコース卒業レポート…ただし初稿

Alexander Technique Training Corse(教師養成)の、

3年間1600時間もいよいよ来月で終わります。

卒業に際して書いた4通りのレポートの初稿…

水星逆行初日で加減が効かず、がりがり綴った思いの丈は、

やさしさ不足のversionでしたので、

全体公開設定で、こちらにアップしときましょう(笑)

オブラート抜きなので、最速2時間仕上げ!

 

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 こころとカラダへの興味は、わたしが音楽をやっていたからだけではないように思います。

 音楽大学在学中、右腕が腱鞘炎の一歩手前になってしまい、医者は休めと言い担当教授は故障は珍しくもないと言い、つまり誰もわたしの事情を考慮したアドバイスは出来なかったのです。それなら自分で考え対策を講じるしかないと決心したときが始まりでした。

 その後仲のよかった声楽専攻の友人に、カルチャーセンターのヨガ教室に誘われました。友人は早々に辞めたのに、誘われたわたしの方がすっかりはまってしまいました。意識とカラダを認識するきっかけは、卒業間近までのこのヨガ体験でした。

 運動といえば鍛えたり根性で乗り越えたり、あるいは勝ち負けの価値観が苦手で大嫌いでした。ところがヨガ体験ではあくまで個人のペースで、調子がいい日もあればそうでない日もあるし、ゴールはあって無いような世界でした。伊豆の沖ヨガ修道場の先生が担当していたヨガ教室は、いま考えると単純にアサナを行うだけでなく、ビギナー向けにしてはこころの在り方や食養生やフーレセラピー(足踏み療法)など、コアでディープなカリキュラムでしたから、ヨガ修行の片鱗を体験していたと思います。

 そんななかで、わたしは自分のカラダの内側を観察しプロセスを見ていくのがけっこう楽しく、またそういう意識の使い方がかなり好きで、周囲の参加者のなかで上手く感じとれているのに気づきました。

 残念ながら大学卒業後に帰郷してから、続けたいと思えるほどの先生に出会えませんでした。しかし意識とカラダへの興味と関心がその後の探求心に火をつけ、本業のヴァイオリンへのアプローチも、ひととはだいぶ違った道を選ぶことになります。

 


 卒業後ヴァイオリンを教える傍ら、自分のカラダの感覚を頼りに、ヴァイオリンの技術の精査や見直しというか、やり直しを数年にわたって取り組みました。それはどんな高名な教師に教わってもやれることではなく、ちょうどF.M.アレクサンダーが三面の鏡の前で自己観察を始めたときのようにです。

 教師は皆一様に与えたがります。もちろんわたしにもそういう傾向はあります。でも自分を理解し再構成していくのは自分を間引く行為であり、他人には任せられません。最終的に自分が何を選ぶかは自分にしかわからないのですから。

 そしてわたしのやり直しの行動の根底には「教える側の責任」を果たす決心がありました。

 若さに任せて無理矢理にカラダを使っても、多少は壊れにくいのでしょうけれど、限界を超えればやはり病名がつく疾患になります。例えば音楽の師弟は、親よりも濃い「絶対的な関係性を結ぶ」だけに、音楽コンクールの出場者が名前を伏せていても、所作や動きで師事する先生がわかるくらい影響が強いのです。ですから生徒側から教師に、良識や知識の準備を求めていいと思います。

 生徒がカラダを壊してしまったり、誤った使い方で苦労させるのは、いまも昔もわたしの本意ではありません。単純に“いい音になる”とか“上手くやれる”とか、そういう場当たり的な音楽の学びは、あまりにも刹那的で発展性がありません。わたしの手を離れても自立し、自力でなんとかやれる自律した奏法や在り方を最低限身につけて欲しいのがわたしの願いです。

 


 また音楽を学ぶうえで、自分の思いや感情の「意識の背景」に気づくのは、内的感覚と意識を統合するうえでとても重要で不可欠です。ネガティヴな考え方の習慣は、ポジティブな体験の繰り返しで気づきやすくなれます。

 自分のカラダのなかに思考を閉じ込めているときの音楽と、奏法やこころの在り方の望ましいアプローチを経て外へ放たれたときの音楽と、両方を体験し感じ取ると、一回毎の成功や失敗の体験が少しずつ自己評価を上げていきます。そのときようやく自分が何に迷って何につまずいていたかが見えてくるのは、アレクサンダー・テクニークでの学びと同様です。

 ただ「望ましいアプローチ」に至るために、何かを「止める」行為(non-doing)は、トレーニングコースでの最も大きな学びでした。

 抑制によってdoingとdoingの間のnon-doingに、何もしていないはずなのに「なにかが起こっている」…新しいエポックです♬

 

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